●『急いで小児科にかかるべき熱』と『慌てなくてよい熱』の見分け方

■熱は何故出るのか？
急な熱の原因は９割位がウイルス感染で、１割位が細菌感染です。どちらも熱に弱く、体を守る力（免疫力）は熱があると強くなります。つまり、こどもの急な熱は敵ではなく味方なのです。むやみに熱を下げすぎると病気の治りがかえって悪くなることがあり、注意が必要です。

■急いで診察を受けた方がよい熱
１)生後３か月未満の赤ちゃんの熱
月齢の小さな赤ちゃんは、全身状態が良さそうに見えても、敗血症（血液の中にバイ菌が入って全身を回る病気）や髄膜炎（脳や脊髄の周りにバイ菌が入ってしまう病気）などで生命が危険になることがあります。時間外でも診察を受けてください。
２)熱に伴う他の症状がある場合
お母さんの「いつもとちがう」という印象は重要なサインです。機嫌がわるい、元気がない、食欲がない、咳がひどい、嘔吐・下痢がひどい、尿があまり出ないなどの場合、急いで診察を受けてください。　
３）定期予防接種を受けていないお子さん
ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンなど未接種のお子さんは重症感染症のリスクが高いので心配です。

■２〜３日は様子をみて良い熱
生後３か月以上で、熱が高い割には元気がある、食欲もある、機嫌も良いなど、熱以外の症状が特に無ければ慌てなくてもよいでしょう。ただし、状態がよくても３日以上熱が続くときは、診療時間内に診察を受けてください。

■発熱時の看護
１)脱水に注意
こどもは食欲がなくなると脱水症になりやすく、体力が落ちてしまいます。乳児は母乳やミルク、幼児はスポーツドリンクや湯ざましなどをこまめに飲ませましょう。嘔吐のため水分を飲めないときや、おしっこの量がいつもの半分より少ない場合は、点滴をすることがあります。
２)寒気があるときは保温を
熱の出始めに寒気がしたり、体が震える、手足が冷たいといった状態に気づいたら、冷やすよりも暖めてあげた方が楽になります。ただし、汗をかくまで暖めるのは、やりすぎです。
３)熱が続いて、体全体が熱いまたは発汗があるときは少し涼しく
熱が上がりきってしまったら、薄着にしたり、下着を着替えさせましょう。頭を冷やしても構いませんが、乳児は冷却シートによる窒息にも注意してください。暖めるか、冷やすかの判断は、本人の気持ちの良いようにしてあげればよいのです。

■熱についての心配あれこれ
１)熱で脳がやられないか？
意識障害や10〜15分以上続くけいれんの場合、髄膜炎・脳炎・脳症などの可能性がありますので、直ちに受診してください。例えば40℃あっても、肺炎による熱なら脳に影響はありません。熱だけに注目せず、全身状態や意識状態などをよく観察してください。
２)解熱剤の使い方は？
機嫌が悪いとき、夜眠れないとき、痛みがあるときの応急処置として、38℃または38.5℃以上を目安に１日１回程度使用しても構いません。使用後１時間以内に気分が良くならない場合は、受診してください。


2015.6.14改訂
おひさまこどもクリニック