●フォローアップミルクや離乳後期の牛乳は必要？

■フォローアップミルク
よくコマーシャルなどで『９ヶ月になったらフォローアップミルク』という言葉を聞きます。しかし結論から言いますと、与える必要はありません。日本小児栄養消化器病科学会でもアメリカ小児科学会でも、「フォローアップミルクには乳児期の栄養法としての必要性は認めない」という主旨の宣言をしています。
■牛乳
おなかを壊したり、アレルギーを起こしたりする可能性があるので、1歳になるまで牛乳を与えないようにしましょう。母乳はヒトの赤ちゃん専用です。同じように、牛乳は本来、牛の赤ちゃん専用です。牛だって成長すれば牛乳は飲みません。人が勝手に利用しているだけです。ミルクや母乳から離乳食へ移行してそれなりに食べられるなら「乳」は必須の栄養源ではありません。牛乳は数多くある食品のひとつとして考えましょう。
■母乳、ミルク、フォローアップミルク、牛乳の成分の違い
フォローアップミルクは、どちらかというと牛乳の栄養価に近い組成をしていて、これに各種ビタミンと、特に「不足しがち」と言われている『鉄分』を加えてあります。しかし！母乳の鉄分含有量は確かに低いのですが、非常に効率よく吸収されますので、母乳だけで育てたからといっても鉄分不足にはならず、直ちに貧血になるわけではないのです。ここが物事を数字だけで評価するときに陥りやすい罠ですね。更に、フォローアップミルクや牛乳は、タンパク質とミネラルが多く含まれるため、腎臓に負担がかかる可能性もあります。
■過ぎたるは猶及ばざるが如し
栄養も体重も、多ければいい、というものではありません。こどもでも生活習慣病が問題になる時代です。商業主義に踊らされない育児を心がけましょう。



おひさまこどもクリニック