アトピー性皮膚炎の治療方針
おひさまこどもクリニック
2017.1.17

１）朝洗うことがスキンケアの基本
毎朝全身にシャワーを浴びましょう。汚れが軽ければ朝は石鹸無しでも良いです。首・肘・皺など汗が溜まりやすいところを入念に流してください。寝ている間に汗をかいたり掻き傷から汁が出たりします。汚れの上から薬を塗っても効きません。夜は普通に入浴してください。タオルやスポンジでゴシゴシ擦らないようしてください。石けんはシャボン玉浴用などの安い純石けんを泡立てて手で洗いましょう。

２）保湿：皮膚を保護し乾燥を防ぐこと
■入浴後、皮脂が落ちたまま放置すると皮膚が乾燥し痒みや肌荒れがひどくなります。洗った後はすぐにワセリンや保湿剤で皮膚を保護しましょう。
■炎症の程度に応じてステロイド軟膏を使用します。ステロイド軟膏は正しく使用すれば副作用は心配ありませんし、長期間漫然と使用する必要もありません。痒みが強い場合は、痒み止めの内服薬を併用することがあります。

３）食餌制限：素人判断は危険
■強いアレルギー症状がなければ食餌制限は不要です。無理な食餌制限は本人にも家族にもストレスになるばかりでなく、栄養失調になることもあります。本当に制限が必要なのか、担当医とよく相談しましょう。
■妊娠中の食餌制限や授乳中の食餌制限は不要です。母親が厳しい食餌制限をした方が、かえってこどもの食物アレルギーが増えたというデータもあります。
■炎症で壊れた皮膚バリアから侵入した微量の食物が食物アレルギーの原因になります。何よりもスキンケアが一番大切です。

４）よくある質問
■ステロイドの副作用は本当に大丈夫か？
風邪薬や抗生剤など日常よく使用される内服薬の副作用の頻度に比較してステロイド軟膏の副作用の頻度はずっと低いです。正しく使用すれば問題になることはほとんどありません。大人の手の甲の面積に米粒1 個程度の軟膏が適量です。但し、細菌感染や水イボなどウイルス感染のある部位に使用すると悪化することがありますので、ご注意ください。
■冬の朝のシャワーで風邪を引かないか？
アトピーは冬が一番悪化します。だからこそ冬のスキンケアが重要なのです。シャワー中はお湯が出れば寒くありませんね。シャワー前の裸になる数分間とシャワー後に水分を拭いて軟膏を塗り服を着るまでの数分間に少し寒い思いをするだけで風邪を引くことはありません。むしろ、短時間の寒冷刺激は自律神経を適度に刺激してくれますし、朝のシャワーは体と心をしっかり目覚めさせる効果もあります。
■体質改善はできないのか？
体質改善という言葉はとても響きが良いですが、何かを使えば簡単に改善するという方法はありません。安易な発想はアトピービジネス（人の弱みに付け込んで効果がないのに高価なものを売りつける商売）の格好のターゲットです。早起き早寝や外で元気に遊ぶなど基本的な生活習慣と毎日のスキンケアを気長に地道に続けることが一番の近道です。「お金をかけずに手間をかけて」ください。



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